【用語解説】FIT制度とは？初心者にもわかる固定価格買取制度の仕組み・メリット・課題を徹底解説

**FIT制度（Feed-in Tariff：フィード・イン・タリフ）とは、
太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー（再エネ）**で発電した電気を、国が定めた価格で一定期間、電力会社が買い取ることを義務づける制度です。

わかりやすく言えば、

「再エネで作った電気は、国が保証する価格で買い取ってもらえる」
という仕組みです。

この制度が導入された背景には、地球温暖化対策とエネルギーの多様化があります。
2000年代以降、化石燃料（石油・石炭など）によるCO₂排出が深刻化。世界各国が再エネの普及を急速に進めました。

中でもドイツは2000年にいち早くFIT制度を導入し、大きな成功を収めます。
この流れを受け、日本でも東日本大震災（2011年）による原発停止をきっかけに、再エネの重要性が高まり、
2012年7月に日本版FIT制度がスタートしました。

FIT制度は大きく3つの要素から成り立っています。

国が「再エネの電気を何円で買うか」を毎年決めます。
この価格は経済産業省の審議会で見直され、発電コストなどを踏まえて変動します。

たとえば：

電力会社が再エネ電力を買い取る期間も決まっています。

長期的に安定収入が見込めるため、企業や個人が安心して投資できる仕組みです。

地域の電力会社は、再エネで発電した電気を必ず買い取らなければならないという義務があります。
これにより、再エネの普及が一気に進みました。

つまり、私たちの電気料金の一部が再エネを支える仕組みになっているんです。

FITによって太陽光発電の導入量は10年間で30倍以上に！
日本各地でメガソーラー（大規模太陽光発電所）が建設されました。

技術の進歩と大量生産により、太陽光発電コストは10年前の約1/5まで下がりました。
今では再エネが「安い電力源」として注目されています。

地方での発電事業が増え、雇用創出や地域収入の増加につながりました。

FITのコストは私たちの電気料金に含まれる「再エネ賦課金」で賄われています。
そのため、年々負担が増加中。

高額買取を悪用し、

天候で発電量が変動するため、送電網の容量不足やバランス調整が課題となっています。

FITは再エネ普及に大きく貢献しましたが、
「価格が高すぎる」「競争が生まれにくい」といった課題もありました。
そこで2022年以降、日本では新制度FIP（Feed-in Premium）制度へ段階的に移行中です。

FIPでは、

電気を市場価格で売り、そこに「プレミアム（上乗せ金）」を加える
という形に変わります。
つまり、発電事業者が市場と競争しながらも、一定の支援を受けられる仕組みです。