脂質(ししつ)とは、体の中でエネルギーをためたり、細胞の膜を作ったりする重要な栄養素です。別名「脂肪」と呼ばれることもありますが、実は脂質には種類がたくさんあり、体の健康やエネルギーに欠かせません。この記事では、脂質の種類、働き、健康との関係をわかりやすく解説します。
1. 脂質って何?
脂質は、水には溶けにくく、油に溶けやすい栄養素のことです。
主な特徴は次の通りです:
- 水に溶けにくい(だから油っぽい)
- 体のエネルギー源になる(1gあたり約9キロカロリー)
- 細胞やホルモンの材料になる
脂質は炭素(C)、水素(H)、酸素(O)を主に含み、体の中でさまざまな形に変化して働きます。
2. 脂質の種類
脂質には、大きく分けて5つの種類があります。
(1) 脂肪酸
脂質の基本となる分子です。
- 炭素と水素の鎖+カルボキシル基からできています
- 種類:
- 飽和脂肪酸:二重結合なし。バターやラードに多い
- 不飽和脂肪酸:二重結合あり。オリーブオイルや青魚に多い
- 体の中で膜の柔らかさを調整したり、血液や炎症のバランスに関わります
(2) 中性脂肪(トリアシルグリセロール)
- グリセロール+脂肪酸3本でできています
- 食べ物の油のほとんどがこれです
- 体内での役割:
- エネルギーをためる
- 体温を保つ
- 内臓を守るクッションになる
(3) リン脂質
- **水になじむ頭(リン酸)+油になじむ尾(脂肪酸)**の構造
- 細胞膜や器官の膜を作る大切な成分
- 信号を伝える働きもあります
(4) ステロイド
- 4つの炭素の輪がつながった構造
- 代表例:
- コレステロール:細胞膜の材料、ホルモンや胆汁酸の元
- ステロイドホルモン:性ホルモンやストレスホルモン
(5) ワックス(ろう)
- 長い脂肪酸とアルコールからできる
- 主に皮膚や植物の表面を保護する役割
3. 脂質の体での働き
脂質は単なる「脂肪」ではなく、体の中でいろいろな役割を持っています。
- エネルギー源
- 体を動かす燃料になります
- 1gで炭水化物の約2倍のエネルギー
- 細胞や膜を作る
- 細胞膜の大部分は脂質でできています
- 外からの刺激を守るバリアになる
- ホルモンやビタミンの材料
- ステロイドホルモンやビタミンD、胆汁酸の元になります
- 体を守る
- 皮下脂肪で体温を保持
- 内臓脂肪で衝撃から臓器を守る
- 体の信号を伝える
- 炎症や血液の流れを調整する脂質メディエーターを作ります
4. 脂質の消化と吸収
脂質はそのままでは水に溶けないので、体の中で工夫して消化・吸収されます。
- 胆汁で脂を乳化して小さくする
- 膵臓のリパーゼで脂肪酸とグリセロールに分解
- 小腸で吸収され、再び中性脂肪として体内に運ばれる
脂肪酸はさらに分解されてエネルギーとして使われます。
5. 健康と脂質
脂質は適量を摂ることが大切です。
- 摂りすぎると:
- 肥満、動脈硬化、心臓病のリスクが高まる
- 不足すると:
- 細胞膜やホルモンが作れなくなり、体調不良の原因に
特にオメガ3脂肪酸(青魚やナッツ)は積極的に摂ると健康に良いです。
まとめ
- 脂質は体のエネルギー源・膜の材料・ホルモンの材料になる大事な栄養素
- 脂質の種類:脂肪酸、中性脂肪、リン脂質、ステロイド、ワックス
- 適量を摂ることで、体調や健康を保つことができる
脂質を正しく理解すると、食事や生活のバランスを考えるヒントになります。