心疾患とは
心疾患(しんしっかん)とは、心臓や血管に異常が起こる病気の総称です。
心臓は全身に血液を送るポンプの役割をしていますが、その働きや構造に問題が生じると、体全体に影響が及びます。
食生活の乱れや運動不足、ストレスなどの生活習慣に加え、遺伝が関係することもあります。
近年は日本でも患者数が増えており、がん・脳卒中と並ぶ三大死因の一つとなっています。
主な心疾患の種類
1. 冠動脈疾患(かんどうみゃくしっかん)
心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を送る「冠動脈」が狭くなったり詰まったりする病気です。
主な症状は胸の痛み(狭心症)や心筋梗塞で、重症化すると命に関わることもあります。
原因の多くは「動脈硬化(血管の老化やコレステロールの蓄積)」です。
→ 早期発見と定期検査が非常に大切です。
2. 心不全(しんふぜん)
心臓がうまく血液を送り出せなくなる状態です。
体に必要な血液を供給できなくなるため、息切れ・むくみ・疲れやすさなどが現れます。
「急性心不全(急に悪化)」と「慢性心不全(少しずつ進行)」に分けられます。
→ 症状を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
3. 不整脈(ふせいみゃく)
心臓のリズムが乱れる病気です。脈が速くなったり遅くなったり、不規則になることがあります。
中でも心房細動(しんぼうさいどう)は、血液がうまく流れず脳卒中の原因になることがあるため注意が必要です。
4. 弁膜症(べんまくしょう)
心臓の弁(血液の流れを制御する部分)がうまく働かない状態です。
弁が狭くなる「狭窄(きょうさく)」、または閉まりが悪くなる「閉鎖不全(へいさふぜん)」があります。
放置すると心臓に負担がかかり、心不全を引き起こすこともあります。
→ 定期的な心エコー検査が早期発見のカギです。
5. 先天性心疾患(せんてんせいしんしっかん)
生まれつき心臓の構造に異常がある状態です。
軽いものから手術が必要な重いものまでさまざまです。
例:心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)、動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)など。
6. 心筋症(しんきんしょう)
心臓の筋肉(心筋)そのものに異常が生じる病気です。
主に「拡張型心筋症(心臓が伸びて弱くなる)」と「肥大型心筋症(心臓が厚く硬くなる)」があります。
進行すると心不全の原因になることもあり、遺伝が関係する場合もあります。
心疾患のリスク要因
心疾患の発症には、次のような生活習慣や体質が関係します。
- 高血圧:血圧が高い状態が続くと、心臓に負担がかかる
- 高コレステロール:血管内に脂肪がたまり、動脈硬化を招く
- 喫煙:血管を傷つけ、血流を悪化させる
- 糖尿病:高血糖が血管や神経を傷つける
- 肥満:体重が増えることで心臓に負担が増加
- 運動不足:血流が悪くなり、代謝も低下
- ストレス:自律神経が乱れ、血圧や心拍数に影響
- 遺伝:家族に心疾患の人がいる場合、リスクが高まる
心疾患を予防する生活習慣
心臓を健康に保つためには、日常の習慣を見直すことが重要です。
- バランスの良い食事:野菜・果物・魚を積極的に摂り、塩分・脂肪を控える
- 定期的な運動:ウォーキングやストレッチなどを習慣に
- 禁煙:喫煙はあらゆる心疾患リスクを高める
- 十分な睡眠:睡眠不足は血圧やホルモンに悪影響
- ストレスケア:趣味・休息・深呼吸でリラックス
- 健康診断を継続:年に1回は心電図や血液検査を受ける
心疾患の治療方法
治療は症状や原因によって異なります。
- 薬物療法:高血圧・高脂血症・不整脈などをコントロールする薬
- 生活習慣の改善:食事・運動・睡眠を見直す
- 手術療法:冠動脈バイパス手術、カテーテル治療、弁置換手術など
まとめ:心臓を守るには「日常の積み重ね」が大切
心疾患は、誰にでも起こりうる身近な病気です。
早期発見・生活改善・定期検査が何よりの予防策になります。
食事・運動・睡眠のバランスを整えることが、あなたの心臓を長く健康に保つ第一歩です。
【用語解説】
用語 | 意味 |
---|---|
動脈硬化 | 血管の壁が硬くなり、血液が流れにくくなる状態 |
心不全 | 心臓が十分に血液を送り出せなくなる症状 |
冠動脈 | 心臓の筋肉に血液を送る血管 |
心房細動 | 心臓の一部が不規則に動く不整脈の一種 |
弁膜症 | 心臓の弁の開閉が正常にできない病気 |